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執筆者の写真Teppei Ida

血圧の薬と認知症について

皆さん、血圧は気にしていますか? 

 

若い方はあまり気にしないかもしれませんが、中年期以降になると、健康診断や人間ドックで高血圧を指摘され、降圧剤を服用している方も多いのではないでしょうか。 

 

実は、高血圧は更年期以降の「認知症」のリスクになる可能性が示唆されています。一方で、高齢者の中でも特にADL(日常生活動作)が低い方では、「血圧が高いほうが認知機能の低下が少ない」という報告もあります。 

 

そこで今回は、認知症の予防に高血圧の治療薬が必要なのかどうかについて、私見を交えてお話しします。 

 



カリフォルニア大学の研究をもとに 

 

 

この研究では、2006年から2019年の間にアメリカの退役軍人12644人を対象にコホート研究が行われました。対象者は介護施設に入居している方々で、「薬を減量した群」と「薬を減らさなかった群」に分類され、認知機能を1(正常)から4(重症)までの段階に分類したうえで、最長2年間追跡されました。 

 

その結果、認知機能が低下していた割合は以下の通りです: 

継続群:12.1% 

減薬群:10.8% 

 

つまり、減薬群では有意に認知機能の低下が抑制される結果となりました。 

 

血圧が高いリスクも 

 

一方で、血圧が高い場合には脳血管疾患や心疾患のリスクが上がることも知られています。つまり、認知機能低下のリスクは、血圧の値や年齢、既往歴、服用している薬によって異なる可能性があるのです。 

 

それでは、一体どうしたら良いのでしょうか?以下にポイントをまとめます。 

 

降圧剤の使用についてのポイント 

 

ポイント1:特に疾患のない方の場合 

 

心臓や脳に特別な病気がない方で降圧剤を服用している場合、減量が可能だと思われます。 

血圧は年齢とともに上昇するため、高齢で基準値を少し超えただけの場合には、降圧剤は不要かもしれません。このような場合には、主治医に相談のうえ減薬を検討してみてください。 

 

ポイント2:既往歴がある方の場合 

 

過去に脳梗塞や心筋梗塞などを発症し、再発予防のために降圧剤を服用している方もいらっしゃるでしょう。この場合: 

75歳以下の方:再発予防のために服薬は必要かもしれません。ただし、生活習慣の見直しによって減量の可能性もあります。 

75歳以上の方:減量が可能だと考えられます。再発リスクと認知機能低下のリスクを比較すると、認知症予防の観点で減薬のメリットが大きいといえます。 

 

減薬の進め方 

 

減薬を行う際には、以下の点に注意してください: 

1. 最後に追加された薬から減らす 

2. 服用量を半分にするなど、徐々に減薬する 

3. 減薬後の変化を確認するため、最低1週間は毎日血圧を測定する 

4. 必ず主治医と相談しながら行う 

 

減薬は「一気にやる」のではなく、「少しずつ」が基本です。 

 

まとめ 

 

降圧剤の減量は、認知症発症リスクを低下させる可能性があります。不要な降圧剤や過度な降圧は控えるべきであり、副作用リスクの低減や医療費の抑制といったメリットもあります。 

 

健康管理は他人任せにするものではなく、自分自身で主体的に行うものです。血圧の管理についても、自分で積極的に考え、行動しましょう。 

 

次回のブログもお楽しみに! 

 

 

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